人間は皆チョーデー

砂川よしひろ

2015年10月18日 21:32

この世人間や 皆おとぎゃと思れ
 沖縄おまぎりや 一家内(チュチネ)だいもの

kunuyu ninjinya muru utugyatu umuri
utina umajiriya chutine demunu


  久米具志川王子朝盛 詠
 (尚質・尚貞 両王代の摂政)

(この世の人間は皆チョーデーと思いなさい。沖縄中すべて一家族のようなものだから…「琉歌全集」より)

10月に来県したハワイ州イゲ知事の言葉「交流の絆を越え一家族としてお互いの発展に努力したい」とのメッセージは冒頭の琉歌を彷彿させます。70年前の沖縄戦のあと、荒廃しきった沖縄に「ブタ支援等」を実行したハワイ沖縄県系人の心につながる思いやりのある優しい言葉です。イゲ州知事はさすがウチナー血筋の政治家だなと感じ入りました。

このルカ(琉歌)は今から350年前(琉球への薩摩侵攻から4~50年経過)王政は日本・中国と大国の狭間に翻弄され、民は疲弊「ムヌクィシドゥ ワウシュ」の退廃的・不健全社会に向け、連帯を呼びかける時の摂政久米具志川王子の切なる思いが伝わる詞であります。

ひもじさに耐え、分け合って食べ、助け合う「ヰーマール」燐憫の情を表現する「チムグクル・ムゾーサ」の心が芽生えるのも自然の成り行きだったのでしょう。

最近よく「オール沖縄」という魂の一魂がその情熱をかき立てていますが、正しい「チョーデー愛」が感じられます。冒頭の久米具志川王子の琉歌がその原点のような気がします。

(野村流伝統音楽協会顧問 知花元盛先生の挨拶より)
              専属ライター砂川芳博




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