2014年03月30日

四月になれば彼女は

「四月になれば彼女は」は、1960年代アメリカの学生らしき若者の恋愛の悲しい歌ですが、英語がとてもきれいな名曲なので掲載します。

40年前の復帰の年1972年の秋、受験勉強の合間に生意気でおませな男子中学生らは、当時牧志あったG映画館で上映されていた「卒業」。入れ替えなしで終日映画を見るというより音楽を聴いていて感傷に浸っていた。

当時流行っていたカーペンターズ同様、英語の学習の格好の教材でした。英語の意味も字幕スーパーから現在(いま)よりも理解できていた感。それとプール付のアメリカの住宅にあこがれていました。


「四月になれば彼女は」(April Come She Will:歌詞)
April come she will
When streams are ripe and swelled with rain;
May, she will stay,
Resting in my arms again

June, she’ll change her tune,
In restless walks she’ll prowl the night;
July, she will fly
And give no warning to her flight.

August, die she must,
The autumn winds blow chilly and cold;
September I’ll remember.
A love once new has now grown old.

「四月になれば彼女は」(April Come She Will:訳詞)

四月になれば消費税が上がるだろう‥ではなく

四月がやって来ると彼女も
川は満ちて雨で潤う頃
五月、彼女は居てくれるだろう
再び私の腕の中で安らぐ

六月、彼女の様子が変るだろう
落ち着きのなく歩き、彼女は夜に徘徊するだろう
七月、彼女は飛び立つだろう
けれとも彼女が飛ぶことに何の警告もしない

八月、きっと死んでしまうだろう、彼女は
秋の風が肌寒く冷たく吹いて
九月には私は思い出すだろう
愛はかって新しくても、移ろい過ぎてゆくことを

「April come she will」は詩における倒置法ですね。強調の意味もありますが、四月がやってくると彼女も(willそのものが、未来に対する予測になるようです。すべての始まりを表しています)、she will comeだと「彼女がやって来る」と限定的になります。「四月になれば彼女は」の邦題はよくこのイメージを伝えていて名訳です。

そして五月から八月までは、「恋愛」の諸相を象徴的に描いて、九月で結んでいてたいへん短いですがすべてに深い意味があります。「September I’ll remember.」は「九月になると思い出すだろう」というよりも、「九月そのものが思い出すときそのもの」という表現でしょう。四月と九月に「,」がないことに注目します。

各月で「April 」と「will」、「May」と「stay」、「June」と「tune」、「July」と「fly」、「August」と「must」、「September」と「remember」と見事に韻を踏んでいます。各節に脚韻もあります。この詩法も、音楽的効果と詩の内容を伝えるうえで重要なポイントです。

春四月は長い冬が終って、明るい希望の季節。そしてアメリカでは、学年の区切りが九月に始まり、八月に終わりますので、八月に学生時代の恋が終るというケースが多くあります。そんな感傷もこの歌のバックボーンにあります。

とても短い歌ですが、季節の移り変わりと恋愛のイメージを織り込んで、ポール・サイモンのメロディメーカーと詩人としての才能が良く分ります。そしてアート・ガーファンクルの美しく澄んだ歌声が、とてもこの歌に合っています。

………………
明日から4月。
みなさまのそれぞれのステージで
きっといいことがありますように!


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Posted by 砂川よしひろ at 13:43│Comments(0)林住期エッセイ
 
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