2007年11月19日

上り口説を往く1)

上り口説(ぬぶいくどぅち)
1. 旅ぬ出で立ち観音堂 千手観音伏し拝で黄金酌とて立ち別る
(たびぬいんじたちくゎんぬんどー しんてぃくゎんぬんふしをぅがでぃ くがにしゃくとぅてぃたちわかる)

2.袖に降る露押し払ひ 大道松原歩みゆく行けば八幡崇元寺
(すでぃにふるつぃゆうしはらゐ うふどーまつぃばらあゆみゆく ゆきばはちまんすーぎーじ)

3. 美栄地高橋うち渡て 袖を連ねて諸人の行くも帰るも中之橋
(みーぢたかはしうちわたてぃ すでぃをぅつぃらにてぃむるふぃとぅぬ ゆくんかゐるんなかぬはし)

4. 沖の側まで親子兄弟 連れて別ゆる旅衣袖と袖とに露涙
(うちぬすばまでぃうやくちょうでー つぃりてぃわかゆるたびぐるむ すでぃとぅすでぃとぅにつぃゆなみだ)

5. 船の綱疾く解くと 舟子勇みて真帆引けば風や真艫に午未
(ふにぬとぅむづぃなとぅくどぅくとぅ ふなくいさみてまふふぃきば かじやまとぅむにうんまふぃつぃじ)

6. 又も廻り逢ふ御縁とて招く扇や三重城 残波岬も後に見て
(またんみぐりおーぐゐんとぅてぃ まにくおうじやみーぐすぃく ざんぱみさちんあとぅにみて)

7. 伊平屋渡立つ波押し添へて 道の島々見渡せば
 七島渡中も灘安く

(いひゃどぅたつなみうしすゐてぃ みちぬしまじまみわたしばしちととぅなかんなだやしく)

8. 立ちゅる煙や硫黄が島 佐多の岬に走い並で(エーイ) 
 あれに見ゆるは御開門 富士に見まがふ桜島

(たちゅるちむりやゆをがしま さだぬみさちにはゐならでぃエーヰ ありにみゆるわうかゐむん ふじにみまごーさくらじま)

古典舞踊曲・上り口説 (ぬぶいくどぅち)は首里を出発して那覇の港から船に乗り、奄美諸島、トカラ列島を通り過ぎて薩摩へと旅をするありさまを謡っている。那覇から鹿児島港までは、現在は大型客船でおよそ20時間の旅。1時間ちょっとの飛行機に比べればだいぶ時間がかかるのだが、昔は風が順調に吹いたとしても3日以上かかったという。途中には伊平屋沖合など波荒く潮流の早い難所が待ちかまえているから命がけの旅。突然の嵐に遭うこともしばしば。出発にあたって首里観音堂で旅の無事を祈り、親類縁者と別れの杯を交わしていったとさ。

上り口説を往く1)
首里観音堂(しゅりかんのんどう)
正式の寺号は慈眼院。万歳嶺とよぶ丘にあって視界が開け海が臨める。渡航無事を祈願する寺として上り口説では「旅ぬ出立観音堂、千手観音伏し拝でぃ…」と謡われる。十八夜拝み(旧暦1・5・9月)には沖縄各地から人々が訪れる。安置されている守り本尊は千手観音(子)・虚空蔵菩薩(丑・寅)・勢至菩薩(午)・普賢菩薩(辰・巳)で、家内安泰・旅行安全・健康などを祈願する。観自在・観世音といわれるように、すべての人を観、救う働きが自由自在な菩薩。


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Posted by 砂川よしひろ at 17:28│Comments(2) 上り口説を往く
この記事へのコメント
ブログコメントありがとうございました。
面白いブログですね。
今後チェックして勉強させてもらいますね。
それでは
Posted by 稲嶺恭子稲嶺恭子 at 2007年11月20日 02:44
>稲嶺さん
どういたしまして 遊ぶように勉強されてください。
Posted by すながーすながー at 2007年11月20日 18:13
 
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